池上 容子展 Ikegami Yoko Exhibition
【― 木炭で描く― 「うつらふ」
伊丹市立伊丹郷町館・旧岡田家酒蔵 国の重要文化財 (現存する日本最古の酒蔵)
2009.10/9(金) 〜10/12(月・祝)[10時〜6時]入館無料 (入館は5時30分前まで)

[ワークショップ]

木炭画材を使って光りを描き、酒蔵に木漏れ日を、池上容子の作品に参加しませんか。
【日・時】酒蔵にて、展覧会期間4日間/11時〜12時 (随時)参加費無料・事前申込み不要

現存する日本最古の酒蔵という、その存在 自体で圧倒されてしまう空間。
三百年という 膨大な時間の 蓄積が作り出す静寂した空間に
ひととき爽やかな風を生み出すことが出来れば・・・。



[所在地]
〒664-0895 兵庫県伊丹市宮ノ前2丁目5番28号
「みやのまえ文化の郷」 伊丹市立伊丹郷町館・旧岡田家酒蔵
[問い合わせ]
ドット アート コスモ 右脳の散歩道ギャラリー(C)
Tel. 090-3487-2601
伊丹市立伊丹郷町館
Tel.072-772-5959
[後援]
財団法人 伊丹市文化振興財団伊丹市立伊丹郷町館
[協賛]
伊丹郷町商業会 / ドット アート コスモ 右脳の散歩道ギャラリー(C)
[交通]
●阪急伊丹駅より徒歩北東へ9分
●JR伊丹駅より徒歩北西へ6分
●伊丹市バス・阪急バス伊丹本町停留所より徒歩北へ3分
タイトルとしての、『うつらふ』酒蔵での個展
日常のささやかな特別でもない時間。「それは、ほっと一息ついた時、そのささやかな充足感ですべてを
解きほぐすような、そんな作品であってほしい」と。「木炭」を素材とし、「ふうわり漂う」を発表。

ひかりに誘われ、偶発的の一点から 場所・時間さえのりこえ、心境大に、 こころの声までにも感じる事の出来る、
木炭画による白黒の陽。
観る側にもゆだねよる白黒の微細な変化が、 光の色・匂いまでも感じさせ日常のささやかな、
なんでもない時間の幸福感、頭脳の鎮静剤であるような、こころのリセット場所をそっとひろげる。
うつろう光に時をかさね「記憶」「光景」「面影」「余地・余白」に
戯れる、軽やかなひかりの中に、戯れる事の遊びこころの幸福感。
心の中の轟くもの・強烈なものではなく、静かにうつろう時をかさねみる、
人間らしい感覚を呼び覚ます時間をこころの光にと。
胸の奥底から静かに、 やさしく湧き出す幸福感をひろげる。
タイトルとしての、『うつらふ』酒蔵での個展
(前伊丹市立美術館館長坂上 義太郎)
今、私は机の上に、今秋の伊丹の旧岡田家酒蔵で
個展を開く池上の個展に掛ける思いのメモに目を留めている。
 6月初旬、大阪船場の光と緑のパティオに包まれた
登録有形文化財・船場ビル内にあるドットアートコスモで開かれた
「たわむれる 池上容子個展」を臨いた。
当日、木炭による作品群に包まれた画廊空間で、
暫し時間を忘れてしまったことが脳裏を過ぎった。
 さて木炭は、色々な描画材料の中でも最も
古いといわれる。例えば、原始時代の穴居人が洞窟の壁に
彼らの獲物の動物を描いて以来ずっと使われてきたように。
 また西洋絵画では、明暗の幅と質感の幅を油絵と同じように
生むことの出来る最適な描画材料とされている。
 そして物を観察する力を深め、その観察力の進展に材料を並行
させながらこなしていくには、木炭は有効な描画材料でもある。
 更に木炭という素材の持味をより追求すれば、他の素材では
出来ない表現を生み出すことが出来る可能性を潜めている。
 序でながら木炭は、消し具(パン、擦筆、ガーゼ、手のひらや
指など)による“消す行為”により表現の幅を調整し描く。
従って、木炭画はこの消し具を如何に使いこなすかが決め手になる。
私は普段作家による表現とは、画面に表われるすべての線、色、
形の外面的部分から成立するだけではないと考えている。
その外面的部分の奥に隠れている感情・情緒などの
心的状態や抽象的、普遍的な観念や思考を如何に引き出し、
表現しているかを注視している。
木炭に拘る池上は、一見現実の再現のような光景の中に、
映像的な描写に時間や動きを付与している。
そんな時空間に私たちは、眼前の再現と記憶の間を往還する
ことを余儀なくされる。
池上描く木炭画とは、水・空気・風・光・などによる自然の
姿であるとともに、記憶の原形とはいえないだろうか。
木炭画には、光景の縁が残り、観る者をして自然と心交わす
気配が生まれている。
 私が初めて観た6月の出品作品「たたずむ」「ゆらぎ」「包み込ん
でゆく」「その先に・・・・」「見つめる」 「さそわれて」
「たわむれる」「ゆらめく」「見上げて」などに、
心地よい風が流れ、どこからともなく水の音が聞こえ、
光があちらこちらから洩れて、やさしい明るさを感じたのは
私ひとりだけではないだろう。
 音・光・風・水が織り成す陽のあたる場所。
私たちは、光洩れる世界に、風の流れてくる方へ歩いていること
にふと気付く。池上の木炭画には、観る者の視線そのものを
吸い込むような不思議な気配を有している。
 池上と会話していると、彼女自身が飾らない人柄が描き出す
空間に、自然体で心地よいメッセージを込めている姿勢が
感じられた。自己の「風景」を遡り、木炭画に自己の存在を
確認している池上。ごく身近な光景が題材となり、
有と無の狭間に形態や心象の表現に腐心していることが窺える。
 自己の立ち位置を考えながら、木炭画による光景に、
無から有を創出することに真摯に対峙している池上。
 そんな池上が、純粋な空間でなく、現存する日本最古の酒蔵に
木炭画の世界を持ち込むという。
 酒蔵の時の流れを捉え、空間(不可視)と作品(可視)の関係を、
池上の記憶の原形が、静謐な酒蔵空間に、
どんな風や匂いを 漂わせてくれるのかを、私は楽しみにしている。
履歴
池上 容子 Ikegami Yoko

略歴 1975 生れる
1999 大阪芸術大学美術学科絵画コース卒業
1999〜2002 大阪芸術大学美術学科非常勤副手勤務

個展 2002 ZIZZ (大阪 中津)
2003 ZIZZ (大阪 中津)
2005 陽のあたる場所 (ドットアートコスモ大阪)
2006 陽のあたる場所『吹かれるにまかせて。ゆらゆらと。さらさらと。』 (ドットアートコスモ大阪)
2007 陽のあたる場所 (ドットアートコスモ大阪)
2009 『たわむれる。』 (ドットアートコスモ大阪)

グループ展 2003 -改過自新-展 マイナスケイプス (大阪 北堀江)
デザイン・アートのプラットフォーム展 SUMISO (大阪 堀江)
展覧会風景
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ART
2005.11/7〜12
2006.10/10〜16
2007.12/10〜22 2009. 6/1〜6